Sunday, August 25, 2013

【Race Report】Waldo 100Kレースレポート(前編・出発〜レース前日まで)

                     

 いよいよその日がやってきました。日本がお盆休み中にも関わらずWaldo 100Kのために出発直前まで仕事をこなし、それでも終わらずに宿題も持ち込んでオレゴンの旅に出発。

 オレゴン州ポートランド国際空港(PDX)にはワシントンDCダレス国際空港(IAD)から直行便で約6時間。夜7時発の予定が飛行機がまだダレス空港に到着していないということで1時間以上遅れるという幸先の良い?出だし。ポートランドに到着したのはオレゴン時間で23時過ぎ。3時間の時差があるDC時間だと夜中の2時・・・。眠たい目を擦りながら予約していたレンタカーをピックアップし、空港近くのホテルにチェックイン。疲れていたけどロビーで販売していたカップラーメンがあまりに美味しそうに見えたので値段も確認せず勢いで購入し部屋で一気食い。美味しかったっす。そんなこんなで移動続きの初日は終了。ぐっすり眠れました。

   (宇和島屋スーパーマーケット。中には紀伊國屋書店も入っています。)

 2日目、ポートランドから車で3時間かけてレース会場であるWillamette Pass Ski Areaに向かう。途中で日本食が調達できる日系スーパーマーケットUwajimayaに寄ってどら焼きやらカップラーメン(豚骨)、おにぎり、栄養ドリンクなどを調達。こうやって日本食やお菓子が現地でも買えるのはありがたいです。ついでにスーパーに併設されている日本食レストランで豚しょうが焼き定食を食べて腹ごしらえ。DCでもこんなに日本食関係充実してないですよ。いいなあポートランド。昼食後、ノンストップドライブで南下。ユージーンを超えたあたりから風景が一気に大自然に。どんどん標高も高くなっていき、ポテトチップスの袋がパンパンになったり、耳の調子も変な感じになってきたりして、いよいよ来たか!という感じ。

(レース会場近く。)

 山に入ってよく目につくのが「Fire Danger」の標識。最近雨が降っていないのでかなり乾燥しているようで、どこも山火事の危険度が「EXTREME」もしくは「HIGH」に。ちょっと心配だけど、トレイルの状態はある程度乾燥していたほうが私は走りやすいのでいい感じで走れる予感。


 予約していた宿、Willamette Pass Innにチェックインしたのが17時すぎ。普段はスキーリゾートということもあり、周りは驚くほど何もない環境だけど、近隣のロッジやキャンプ場はWaldo 100Kの参加者でどこも満室。Waldo 100Kは単なるレースに留まらず、ローカルビジネスに一時的とは言え結構貢献しているイベントだと感じました。

 (泊まったWillamette Pass Inn。アットホームないい宿でした。)

チェックイン時に受付の夫婦にも、
「あなた、わざわざ100キロ走るために東海岸から来たの?物好きねえ。Waldo 100Kは地元民だけのレースじゃなくなったのね。」としみじみ語られた。このロッジに泊まっている他のお客さんもWaldo 100Kに出る人達ばかりだから朝早から音出しても大丈夫よ〜、とウインクされつつ鍵を受け取る。

(周りのお客さんもみんなWaldo 100Kに出る人たち+家族+クルー。)

夕方6時すぎにロッジを出て事前ミーティングがあるレースのスタート/フィニッシュエリアまで車で移動。約10分で到着。チェックインテントの後ろにかなりの坂が見えますがあえて見ないこと(笑)。


(パープル色のテントがチェックインテント。その後ろには明日スタート直後に駆け上ることになる急坂が・・・。)

ミーティングが19時からだったので、チェックインを済ませてからの空いた時間でメインロッジ内のカフェで提供されていた1人10ドルでパスタ食べ放題の食事を頂くことに。3回目のおかわりでギブアップするも100キロ走る分のカーボローディングは完璧!なのかな?


(チェックイン中。スタート時間を午前3時のアーリースタートに変更しなくていいの?と何度か聞かれる。そんなに遅そうに見えましたか・・・。)

(予想に反して結構美味しかった食べ放題パスタ。)

 ある程度お腹が落ち着いたところでふと周りを見るとみんな速そうなランナーばかり。Tim Olsonさんかと見間違えるような長髪、金髪のイケメンや、Hal Koernerさんのようなベテランいぶし銀さんなど、あまり地元ヴァージニア州のレースでは見かけないような、いかにもトレイル慣れしている歴戦の猛者(のようにしか見えない)ランナーがずらり。まだ事前ミーティングすら始まっていないうちから、ウルトラランナーとは程遠い、観光客にしか見えない自分の場違い感がハンパない状況に。

(トレイルランの猛者達?写真ではわかりませんが皆レベル高そうです。)

19時からの事前ミーティングはロッジ内ではなくスタート/フィニッシュ地点で行われました。8月とはとても思えないほど寒くてダウンジャケット持ってくるんだったと後悔。ミーティングではレースディレクターのCraig Thornleyさんからレースでの注意事項などが説明された。Craigさんは今年でレースディレクターから退くということで、後任のMeghan Arbogastさんの紹介もありました。このミーティング中にも周りのランナーは顔見知りランナーばかりのようで頻繁に握手、ハグが繰り返されており、ここでも場違い感が・・・。

(レースディレクターのCraig Thornleyさんによるレースの説明。)

(事前ミーティングに集まる参加者たち。)

 ミーティングでは、ドロップバックを預けるのが今日の夜9時までだとアナウンスが。当たり前のように手ぶらで来てしまったため、かなり焦りました。そんな大事なことちゃんと事前に言っといてよ!と思ったのですが、事前にCraigさんから送られていたメールにちゃんと書いてました・・・。すいません・・・。

(ドロップバックをおけるエイドステーションは4箇所あり、それぞれの分けて置いておく。)

ミーティングが終わったのが20時。後1時間しかねえ!ということで、ミーティング後車を飛ばしてロッジに戻り、急いでドロップバックをまとめ、また車を飛ばして戻ってきました。何とか締切りの10分前に預けることができ一安心。焦りました。

 今回ドロップバックを預けたのは、A2のFuji Mountain(最初の山登りの場所で、登る前と降りた後のエイドステーションが同じ場所)とA5のCharlton Lake(32マイル地点。最初のカットオフが行われるエイド)。A2のほうにはヘッドランプや薄手のジャケット、手袋など明け方のみに使用する装備を預けることが目的だったので、レッドブル1缶とどら焼きや電解質タブレットを少し入れた程度。ただ、ヘッドランプなどの夜用装備はA1のGold Lakeでボランティアの人たちがしっかり回収してくれました。これが分かっていればA2のドロップバックは必要なかったかも。A5に預けるメインのドロップバックはVictory SportdesignBearⅡを使用しました。

(このBearⅡは他のドロップバックよりも目立ったため、エイドステーションに入ってすぐにボランティアの方が持ってきてくれました。機能性も高くお気に入りです。)

 BearⅡドロップバックの中味は以下の通りです。

  • アミノバイタルPro(レース前、途中でのアミノ酸摂取のため)
  • ハニースティンガーエナジージェル(色々ジェル試したのですが自分にはこれが合っているようです)
  • 絆創膏(言わずもがなも靴ずれなどの応急処置用)
  • 爪楊枝(補給食を取った際に歯に詰まったのを取るため。A型なので気になると集中できなくなるので・・・)
  • Aleve(鎮痛剤。レース前から痛めていた腰痛対策用。ロキソニンよりも効きます。)
  • 着替え用のシャツ、バイザー、靴下(念のため持って行ったのですが結局着替えませんでした。)
  • レッドブル(2つのドロップバックのどちらにも入れました。効き目があったかは正直わかりませんので気分の問題です。)
  • 日系スーパーで購入した栄養ドリンク(ハチミツを主体としたオーガニック栄養ドリンク。これも効いたのか今ひとつ実感無し。)
  • どら焼き(お餅やカステラがそんなに好きではないのでそれらの代わりとして。)
  • エレクトロライト(電解質タブレット)Nuun(電解質をレース中に簡単に補給するにはタブレット型がベスト。ボトルに一粒投入するだけで良いので簡単。)
  • S!Caps(電解質、塩熱サプリ。米国のウルトラマラソンでは大抵このS!Capsがエイドステーションに用意されています。そこでも補給できますが念の為に自分でも持って行きました。)

(Bear Ⅱドロップバックの中。細かいポケットが多くあり小さいものでもしっかりと分けて収納できます。)

 アメリカのトレイルレースは大体5〜7マイル毎にエイドステーションがあるので、ドロップバック自体にそこまで気合を入れなくても大丈夫なわけですが、備えあれば憂いなしですので私はいつも多めに物を入れています。自分で運ぶわけではないですしね。

 そんなこんなでいよいよレース前日。オレゴンに着いてからはドタバタしっぱなしで、実感もわかず、レースに向けての心の準備もできていない中、10時前になったのでとりあえずベッドに入る。周りの部屋の人達も寝ているのか時折通るトラックのエンジン音がするくらいでかなり静かな夜でした。目を閉じてもすぐには寝られず、はたして明日、5時のスタートまでにテンションはあがるのだろうか?寝坊しちゃわないか?腰痛はひどくならないか?何度もある山登りで心が折れないか?山登りもそうだけど、そもそもちゃんと100キロ完走できるのか?などなど、不安の種は尽きることなく浮かんできていました。

 Waldo 100Kウルトラマラソン、はたしてどのような結末を迎えたのか?
 汗と涙のその先に見えたものとは?感動の?レース記録は後編でお伝えします!

(頑張ってきます!)

Friday, August 16, 2013

【Race Report】第23回HAT Run 50K(2011年3月19日)


はじめに

前回、米国に駐在してからダイエット目的でジョギングを始めてからマラソンを走るまでについて書かせていただいたのですが、今回は私にとって人生初となったトレイルレースについてです。

 2010年にワシントンDCで開催された第35回Marine Corps Marathonを4時間19分46秒で何とか完走した後、ラン仲間からトレイルランニング、ウルトラランニングという世界の存在を教えてもらったことについては前回書いた通りです。私がロードからトレイル、ウルトラの世界に足を踏み込むきっかけとなった最初のレースは、Marine Corps Marathonから約5ヶ月後の2011年3月19日にメリーランド州サスケハナ州立公園で開催された50キロレースである、第23回50K HAT Runでした。

2011年3月11日のこと

2011年3月と言えば、東日本大震災が起こった月でした。少々話は脱線しますが、3月11日の当日、私は出張でニューヨークにいました。その日は朝からずっと雨が降っており、夜の会食が終わる頃、ようやく雨があがったのを覚えています。夜9時前にホテルに戻り、スーツを脱いで、さてニュースでも見ようかと片付けをしながらTVの電源をいれました。テレビをつけたとはいえ、その日の仕事のことなど色々考え事をしながらPCにも電源を入れようとした時でした。ふと画面に目をやると、『TSUNAMI HITS』という文字が目に飛び込んできました。文字通りベッドから飛び起き、TVのボリュームを最大限まで上げて目の前で流れているニュースが一体何なのか、何が起こっているのか理解しようとしました。その時撮った写真が以下の3枚です。





 その後朝まで一睡もできずに日本本社や家族と連絡を取り続けました。なかなか電話が通じず心配ばかりが募った夜でした。幸いにも私の家族、友人、同僚には直接的な被害はありませんでした。1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災が発生した当時、私は神戸で高校生をしていました。人間という小さな存在は大自然の猛威の前には為す術もない大震災という状況を自ら体験させられたこと、震災直後の街の様子やそこから復興していく神戸の様子を目の前で見てきたこともあり、今回の東日本大震災が発生してから一気に色んなことがフラッシュバックとしてよみがえってきました。その後しばらくは、夜になっても寝られない日々が続きました。日本から遠く離れたところにいるため、今、日本がどのような状況に陥っているのか自分の目で確かめることができず、混乱する状況の中、米国からネットやテレビという間接的にしか情報を得ることができなかったのが非常にもどかしかったことを今でも覚えています。その後出張でようやく日本に帰れたのは震災から1年以上経った後でした。 

Run for Japan Disaster Relief 

そんなこともあり、3月11日からわずか8日後に開催されるレースに出ていいものか悩みました。ただ走るということだけはしたくない。自分が走ることで何か復興の助けにつなげることができないか、少しでも支援できる方法はないか、と考え、震災発生から3日後の14日に、FirstGivingで「Run the HAT 50K Endurance Run for Japan Disaster Relief」というファンドレイジングのページを急ごしらえで立ち上げ、今回の50キロランを通じて、東日本大震災復興支援のための寄付金を集める活動を開始しました。結果、わずかの期間だったにも関わらず、最終的には当初の予定だった$5,000を上回る、「$6,173」もの寄付金を集めることができました。当日はこれも急ごしらえで作った「Pray for Japan. Run for Japan.」のTシャツを着て走りました。おかげで当日多くのランナーの方やボランティアの方に声をかけていただき、寄付をしたいからあなたのウェブページを教えてくれという声も多数頂き、アメリカ人ランナーコミュニティのやさしさ、思いやりを感じることができたレースとなりました。




 そのような、自分にとって初めての50キロウルトラマラソンは、人生初の50キロという、その距離だけではなく、日本から離れて直接ボランティアなどができない日本人ランナーとして、この大災害に見舞われている母国日本に何ができるか悩みながら走った、特別なレースでした。このレースは1人だけで走ったのではなく、寄付していただいた方や応援してくれた多くの人の思いを背中に感じながら走った印象深いレースでもあり、何がなんでも途中で棄権するわけにはいかなかったのです。そのような思いがあったからこそ、初めてのトレイルランニング、初めての42.195kmを超える、当時の自分の限界を大幅に超えた挑戦に打ち勝つことができたのだと思います。でなければ1週目の大ループを終わった時点で止めていた気がします(笑)。

(レーススタートの瞬間。スタートラインもなく、広場に集まって時間が来て一斉に走りだすのが何ともアットホームで良かったです。)

 『Born To Run』の著者もレースに参加!


 なお、前回も書きましたがこの年はあの『Born To Run』の著者で世界中のランナーの走り方を変えたと言われているクリストファー・マクドゥーガルさんも出場しており(もちろんワラーチで!)、当日受付で『Born To Run』も無料で配布していました。もちろんレース当日はそんなことも知らずただただ50キロという距離、そして山道を走るという自分にとって初めての挑戦にスタート直前までドキドキしており、写真もサインも何もいただかなかったのが今考えると非常にもったいなかったです(笑)。

HAT Run 50Kのコースについて

HAT Runのコースは以下の通りです。
 


HAT Runのウェブサイトより引用】

 コースは、最初に3.6マイル(約5.8キロ)の小ループを1周し、次に13.7マイル(約22キロ)の大ループを2周するというルートです。最初の小ループはいいとしても、13.7マイルのトレイルループ2周はかなりの地獄でした(当時)。今考えるとコースも急坂やガレ場などほとんどなく、コースの最大標高も最大で約110メートル(約360フィート)と、今回走るWaldo 100Kの最大約600メートル(2000フィート)と比べると可愛いものなのですが、当時はそれでも人生最大の苦行でした。

 HAT Runの標高差↓
                 【HAT Runのウェブサイトより引用】


HAT Run 50Kを走り終えて

今思い返してもトレイルをちゃんと走ったこともなく、山の走り方や超長距離におけるペース配分も何も知らない中でよく完走できたものだと思います。体重も今より10キロ重かったですし・・・。ループから帰ってくる度に、妻に「死にそう!もうやだ!」と繰り返していたようですが、私はあまり覚えていません・・・。いずれにせよ人生初の50キロトレイルランは自己PR(←当たり前)で終了しました。速いタイムではないことは何となくわかっていたのですが、ではどれくらい遅いのかどうかも比較できるレースもなかったのでさっぱりわからず、その日はとりあえず無事完走できたという達成感で幕をおろしました。

 その日は早朝というか夜中の2時か3時頃に起きて車で会場まで2時間近くかけて向かい、トレイルを50キロ走ってまたその日に車で帰宅するという強行軍だったため、帰りの高速で一度どころか何度も意識が飛びそうになり、その度にヒヤリハットしたのがこの日一番の盛り上がり?でした。
 
 HAT Run 50Kの後はさすがにきつかったこともあり、50キロを超える50マイルに挑戦するまでにはここから1年以上もかかったのでした。その人生初の50マイルレースについてはまた次回ご紹介いたします。


(ゴール1秒前。笑顔ですが実際はボロボロで死にそうでした・・・。)



【23th 50K HAT Run結果】
日時:2011年3月19日(土)
場所:Susquehanna State Park, Maryland
距離:50キロ
順位:243位(362人中)
タイム:6時間51分37秒

Tuesday, August 13, 2013

【Gear Review】Hoka One One Stinson Evo


はじめに

 先日、Hoka One One Bondi Speedを2回ほど試して、結果両足に血豆などができてしまったことがまだ記憶に新しいですが、やはり今回100キロの山道を走るにあたってHoka One Oneを試してみたいというのと、デモランで履いたほうの、Stinson Evoをちゃんと試してみたいという気持ちがあり、Bondi Speedを返品して、Stinson Evoを購入しなおすことにしました。

 Stimson Evo自体は先週の半ばには届いていたのですが、仕事も忙しく試す機会がなかなか訪れませんでした。ようやく土曜日に30キロほどRock Creek Parkというトレイルで試すことができました。以下、簡単ですがレビューです。

Hoka One One Stinson Evoについて

 Hoka One Oneはご存知の通り、近年トレラン業界で脚光を浴びてきているブランドです。登場した当初こそ、ケーキか!とまで言われた厚底スタイルのみが注目を集めたイロモノ扱いでしたが、実際にHoka One Oneを履いたランナーたちからの高い評価が徐々に広まっていき、今では米国のトレイルレースで相当数のランナーがHoka One Oneを選ぶまでに浸透してきました。

 Hoka One Oneにはロード用のBondi BBondi Speed、トレイル用に今回のStinson EvoMafateがあります。また最近モデルも増えてきていますので今後はさらに選択肢が広がっていくと思います。このクッション性を重視した低ドロップのシューズは2013、2014年のトレランシューズの流行のようで、Hoka One Oneに留まらず、各メーカーがこぞって厚底、高クッションシューズを発表しています。厚底ではありながらも各メーカーともに、0〜6mmドロップのナチュラルランニングの機能を保持していますので、単純にミニマルシューズ流行の反動というわけではなさそうです。

 少し話がそれましたが、このStinson EvoはHoka One Oneのラインナップではパフォーマンスタイプのトレイルシューズとなっており、重さも10.4 oz(約294g)と見た目にそぐわずかなりの軽量です。もう一つのトレイルシューズであるMafateはさらにしっかりした作りとなっており、荒れた路面で威力を発揮すると思います(私は試したことがないのでわかりません)。ただその分、重さもStinson Evoより若干重い、11.3 oz(約320g)となっています。

 ロード用とトレイル用というカテゴライズはされていますが、ある程度路面が安定しているトレイルでは、より軽い(9.5 oz (約270g))ロード用のBondi Speedをレースで使用している方も結構います。2013年UTMF優勝の原良和さんもその一人ですが、私の住んでいるヴァージニア州が生んだウルトラランナー、Michael WardianさんもThe North Faceのプロランナーという立場があるため大きな声では言えないということでしたが、個人的にはBondi Bでトレイルを走るのが好きだと先日おっしゃっていました。

特徴

Hoka One Oneの特徴である厚底はこのStinson Evoでもそのまま活かされています。Bondi Speedとの比べてみて気づいた点として、土踏まずの下にあたるアウトソールがBondi Speedのほうが柔らかい印象で、Stinson Evoのほうが固めでしっかいりとした感触でした。

【横から見たStinson Evo。厚底アウトソールのインパクトがすごいです。】

【Stinson Evoのアウトソール。白い部分が↓のBondi Speedよりもしっかりとしている。】

【Bondi Speedのアウトソール。全体がつながっており、流れるような見た目。柔らかく走りやすい印象でした。】

レーシングシステムについて 

レーシングはSalomonなどでもお馴染みのクイックレーシングシステムです。トラディショナルな紐に慣れている方には少し慣れが必要です。いくつかのレビューで走っている途中でレースが緩むという現象が起こるということでしたが、確かに今回30キロ走ってみたところ、何度か途中で締め直すことになりました。私は特に気になりませんでしたが、気になる方は同封されている通常の紐のレースに付け替えることをおすすめします。


インソールについて

 Stinson Evoのインソールはデフォルトで、以下の写真のようなヒールカップがあるしっかりしたインソールが入っています。よりナチュラルな感覚を求める人向けには、フラットなインソールも入っていますので好みで付け替えてください。私はまだフラットなほうのインソールは試していませんが、何度か入れ替えてみて自分に合うインソールを選んでください。

【デフォルトで装着されているインソール。しっかりグリップできるようになっているのと、ヒールカップが特徴。】




【同梱されているフラットなインソール。表も裏もご覧の通りペラペラ。】

見た目以上に感じる重さ

シューズ自体は見た目の大きさから想像するよりはかなり軽いのですが、ミニマルなシューズに慣れている方の場合、そうはいっても若干重く感じると思います。クッション性を得るためのトレードオフなのでしょうがないですが、その割には頑張って軽く作ってくれていると思います。数字上の重さというよりも、見た目からくる印象で重く感じてしまうところもあると思いますので、何度か走ることで慣れていくしかありません。ただ100キロという距離を走った場合にどうなるかはまだわかりません。それについてはWaldo 100Kレース後に追記したいと思います。

Bondi SpeedとStinson Evoの比較

Bondi Speedとの比較ですが、トレイルを走っている範囲では大きな違いは正直感じませんでした。Bondi SpeedのほうがStinson Evoよりも若干軽いということと、Bondi Speedのほうが着地、ローリングの際の柔らかさがより感じられた程度で、上り坂や下り坂でのグリップなどは大差ないと思いました。私個人的にはアウトソールが固めのStinson Evoのほうが足にしっくりきました。雨が降ってドロドロのトレイルではSalomon Speed Cross 3が一番だと思っていますが、そのようなトレイル状況でない場合はHoka One Oneで十分だと思います。

実際に走ってみての感想

 今回は前回のBondi Speedのハズレシューズ(たまたま購入した靴が良くなかっただけでBondi Speed自体はいい靴だと思います・・・)とは異なり、血豆もできず、走っていてどこもひっかかる感じもなく、最初から足に馴染んで最後まで走れました。30キロのトレイル+ロードを走ってみて、Bondiの時と同様、その走りやすさには感動すら覚えました。急な下りもガレ場も何でも来い、という感じです。ただ、その安心感から今まで走ってきた走法などを忘れてそのまま突っ込んでしまいがちになりそうですが、それは危険です。いくら走りやすくなったと言っても、ミニマルシューズなどで走ってるのと同じように、丁寧に走ることが何よりも重要です。クッションにたよりすぎて走り方を変えたり、下りでおもいっきり踏み込んでしまうと、ヒザや股関節などを結局痛めてしまうことになり、今までせっかく丁寧に調整してきたものが台なしになってしまうことになります。

 また、一歩一歩の着地が柔らかくなったからといっても、30キロなり50キロなりの距離を踏めば当たり前ですが足はかなり疲れます。Hoka One Oneだからケガもせず、足も疲れないというのは幻想でしかありません。Hoka One Oneは、裸足で走っている感覚で丁寧に走ってこそその効力を発揮するのだと思います。残念な事実ですがやはり万能な道具なんて存在しないので、道具に頼りすぎず上手く付き合うことが重要です。

 ちなみにWaldo 100KではこのStinson Evoと控えとしてMontrail Bajadaを持って行こうと思います。さて、どうなることか・・・。また100キロ走った後での感想については後日ブログにアップしようと思います。

Sunday, August 11, 2013

【知識編】Waldo 100K 完走に向けて


Waldo 100K事始め

来週の今日、自分がオレゴンでWaldo 100Kを走ってるということについて、まだ実感が持てないでいるレース一週間前の土曜日です。そもそもどうしてWaldo 100Kに申し込んだのかなということを思い出してみたところ、今年の2月にDogsorCaravan.comさんのブログ記事、「今から間にあう!夏から秋の北米・欧州のトレイルレースガイド」を読んで、まだ応募できる有名な大会があるんだ!と思ったのがまさにそのきっかけでした。3月1日のエントリー開始日にパソコンに張り付き、熾烈な?クリック合戦を勝ち抜き、全体で150人強という決して多くはない出場者の1人となったのでした。まだ5ヶ月前のことですが既に遠い昔のことのようです。もちろん自分にとって100キロのトレイルランなんて初めての挑戦でしたが、5ヶ月もあれば何とかなるでしょ!とのんきに構えていたのですが、結局のんきに構えたまま今日まで来てしまったと言っても過言ではありません。その頃の自分に今アドバイスできるのならこう言ってやりたいです・・・。もっと山、走っとけ!あと、体重せめて後5キロ減らしとけ!

 米国内ではそれなりに知名度があるレースということは知っていましたし、昨年Timothy Olsonさんが優勝したというくらいの情報は知識だけは1人前ですので持っていたのですが、どのようなコースなのかや、気候のこと、難易度はどれくらいかなど、自分が走るために必要な情報については驚くほど持っていないことに気づきました。いよいよレースまで一週間を切ったということもあり、今さらですが、Waldo 100Kについて勉強してみました。

Waldo 100Kのコースについて

ネットで色々と調べていく中で、「アメリカの100マイル/50マイル/アイアンマンレースの難易表」という面白い比較表をWhite blogさんのブログで発見しました。それによると、Waldo 100Kは、米国内の100キロレースの中だと難易度第3位のHurt Trail 100マイルの100K部門に次いで2番目に難易度が高いレースとなっています(ちなみに全米で一番キツイレースはHardrock 100マイルでした)。

 どうも単純に100キロという距離以上に大変なことが待っているらしい・・・。確かにWaldo 100Kのロゴマークを見てみると、山が3つ描かれてます。ということはやっぱり山を3つ越えないといけない・・・のかな?ロゴにはフィートでの標高は書かれていますが、フィートだとよく実感がつかめないので、メートルに直してみました。

Fuji Mountain 7144 ft / 2177 m
The Twins 7362 ft / 2244 m
Maiden Peak 7818 ft / 2383 m

 なるほど。でもトレイルランをやる癖してほとんど高い山に登ったことがないのでこれでもちょっと実感がわきません。そこで最も明確な比較対象である、日本が誇る最高峰で世界遺産となったばかりの富士山と比べてみました。

富士山 標高 3776m

 え?これ、3つの山の標高を合計すると、富士山の標高を軽く超えてるじゃないですか・・・(汗)。もちろん必ずしも全部の山の頂点に登るわけではないでしょうから、闇雲に恐れるのは良くないでしょうということで、Waldo 100Kのサイトに記載されているコース概要を読んでチェックしてみることにしました。

 コース概要ページのトップには、2011年の優勝者でコースレコードホルダーのDave Mackey氏の言葉が掲載されていました。

「今まで走った中で最高のシングルトラックレースだぜ!」

ふむふむ。これはいい感じの出だしです。

 Waldo 100Kはオレゴン州ユージーンから南東70マイルの距離にあるWillamette Passスキー場からスタートし、また同じ場所に戻ってくるというUTMBUTMFでもお馴染みのループコースのようです。コースは確かにDave Mackeyさんの言葉通り、ほとんどがシングルトラックのトレイルで、累積標高差は約11,000フィート以上、と。。。。ん?

11,000フィート(約3,300メートル)以上!!??

 富士山の頂上とまではいかなくても、0号目から8合目まで登るのと同じくらいじゃないですか!ヤバいです。これはヤバいですよ!

 しかも3つの山(Fuji Mountain、The Twins、Maiden Peak)を平均して2000フィート(約600メートル)程度は登り下りするらしいです。全ての山を頂上まで登るわけではないようですが、それでも600メートルとは尋常ではない高さです。600メートルといえば東京スカイツリー(634m)やアラブ首長国連邦にあるあの世界一高い超高層ビルのブルジュ・ハリファの軒高(ビル本体の屋根の地上高)とほぼ同じ高さ。それを登り下りしながら100キロ走ることになるって・・・やっぱりこのレース、ヤバい・・・素人お断りレベルのヤバいレースじゃないですか!さすがDogsorCaravan.comさんが取り上げるだけのレースです。Waldo 100Kのサイトにも「The course is not easy. It is not a beginner-level ultra and participation in the race should not be taken lightly.”(初心者向けのコースじゃないから軽々しく参加しちゃダメだぜ)」って書いてあるだけはあります。こんな半人前ランナーの私が参加させて頂いて果たして大丈夫なのでしょうか・・・?

 ちなみにコース上、最も高い標高はMaiden Peakの7818フィート(2383 m)(ということはこの山だけは山頂まで登ることになるんですね・・・)。最も低い所でもGold Lakeで4900フィート(1494メートル)という、コロラドの高地トレーニング並の高度でレースが行われます。正直、高度トレーニングなんて当たり前ですが一切してしていないため、ここでも動揺が隠せません。

【レース標高差】

(Waldo 100K Websiteより引用)

2013年の出場者について

2013年の今年、走る猛者たちはEntrants Listによると155人ということです。ちなみに日本人選手として、私以外に、私とは天と地ほどの実力差がある、エリートランナーの西城克俊さん(Bib#109)が今年出場されます!私のことはどうでもいいのですが、西城さんの走りには乞うご期待です!ちなみに私のBibナンバーは136です・・・。

 上位を争うことになると予想されているトップランナーとしては、男性では昨年のWaldo 100Kで第3位だったJesse Haynesさんが今年はどこまでいけるか、そして、若干17歳(!)の新星、Andrew Millerさんの活躍にも期待です。女性では、Paulette Zillmerさんが、昨年優勝者のJoelle Vaughtさんにどこまで迫れるかに注目が集まりそうです。

Waldo 100Kの歴史

せっかくですのでWaldo 100Kの歴史についても調べてみました。Waldo 100KはそもそもOregon Trail Series of ultramarathonsの1レースとしてスタートしたようです。Waldo 100Kができる前までは、このオレゴントレイルシリーズには50マイルを超えるレースがなく、Western States 100のような有名な100マイルもしくは100キロの長距離レースを地元オレゴンでも作りたいという現地ウルトラランニングコミュニティの有志によって0から作られたのがWaldo 100Kの始まりです。当時Willamate Passスキー場のボランティアパトロールだったCraig Thornleyさんがレースディレクターとしてリーダーシップを発揮したことも大きく、地元や警察の理解もあり、Waldo 100Kは全米でも有数のレースとしてスタートすることになります。ちなみにこのCraig Thornleyさん、2013年からWestern States 100のレースディレクターとなった、あのCraig Thornleyさんその本人です。

Waldo 100Kという名前の由来

Waldo 100Kの名前の由来ですが、ウェブサイトによると、ランナーがWaldo Lake(湖)を見れるのはコース上最も高いピークからだけで、実際にWaldo Lakeには行くことがないという、まさにレースのハイライトであるシーンから付けられたようです。Waldo Lakeがここからは見えるけど、どこに行けば辿りつけるの?「Waldo Lakeへの道を探せ!」そう、日本語では『ウォーリーを探せ!』という名前で有名なあの絵本の米国でのタイトルは『Where's Waldo?と言うのです。レースディレクターであるCraigさんの奥さんは、Waldoという名前を使うことについて、万が一本家?から訴えられたりしたら面倒だからやめといたほうがいいよ、と忠告したようですが、Craigさんは、まあそん時はそん時!と最初に決めたWaldoという名前をそのまま使うことを決めたようです。むしろ『ウォーリーを探せ!』へのリスペクト?として、「Find Waldo」賞(16マイル地点のMt. Fujiの頂上に最初に到着したランナーに与えられる賞まで作ってしまいました(笑)。
 
 このようにして2002年にWaldo 100Kは誕生し、Oregon Trail Seriesに加えられることにもなり、記念すべき第1回目のレースが2002年9月28日に開催される運びとなりました。第1回目のレースに出場したのは39人で、完走者はたったの15人と、完走率38%という厳しい結果でした。以下、これもサイトからの引用となりますが、2002年から昨年の2012年大会までの参加者人数と完走率の変遷をまとめてみました。地方の小さなトレイルレースが、いかにサイズ自体は大きく変えずに全米有数のレースに成長してきたかがここから見えてきます。


2002  (Sept 28;  15/39 = 38% finish rate)
2003  (Aug 16;  31/53 = 58% finish rate)
2004  (Aug 21;  33/47 = 70% finish rate)
2005  (Aug 20;  38/54 = 70% finish rate)
2006  (Aug 19;  47/67 = 70% finish rate)
2007  (Aug 18;  81/103 = 79% finish rate)
2008  (Aug 16;  83/105 = 79% finish rate)
2009  (Aug 22;  88/121 = 73% finish rate)
2010  (Aug 21;  107/123 = 87% finish rate)
2011  (Aug 20; 95/123 = 77% finish rate)
2012  (Aug 18; 91/112 = 81% finish rate)

最後に

これでWaldo 100Kについて皆さまにも何となくヤバさがお分かりいただけたかのではと思いますがいかがでしょうか?もちろん100マイルレースを走られているウルトラランナーの皆さんであれば、こいつ何甘いこと言っているんだ?と呆れているかもしれませんが、永遠の半人前トレイルランナーである私にとっては、これが現時点で今までの人生で最大の冒険ですのでご容赦ください・・・。さて、無事制限時間内でゴールできるか、それともDNFとなるか、結果はレース後にご報告いたします。ということで来週、死ぬ気で楽しんできます!

【Waldo 100KコースMap】


(Waldo 100K Websiteより引用)

Saturday, August 10, 2013

【Gear Review】Ultimate Direction SJ Ultra Vest



 いよいよ来週末に迫ったWaldo 100Kですが、先日のHoka One One Bondi Speed事件があってからまともに走ることができず、更に追い打ちをかけるように風邪を引いてしまい、練習どころではなくなってしまったという笑えない状況に陥っています・・・。
 さて、今回は最近購入したWaldo 100K対策グッズの中で最も新しい、Ultimate Direction SJ Ultra Vestのレビューをさせて頂きたいと思います。

Ultimate Directionについて

 Ultimate Directionというブランドは、自身がウルトラランナーでもあるBryce Thatcher氏が1986年に設立した誕生したアメリカコロラド州初のハイドレーションブランドです。Bryce Thatcher氏もウルトラランナーということもあり、Ultimate Directionが作るハイドレーションパックは特にウルトラ・トレイルランナーたちに支持されてきました。ただ日本ではここ最近まで知名度が高かったわけではなく、SalomonやThe North Faceと比べるとまさに知る人ぞ知るというブランドでした。それが一気に日本人トレイルランナーの間で知れ渡るようになったのは間違いなく、Signature Series Vestの登場がきっかけでした。

UD Signature Series Vestについて

Signature Series Vestとは、UDのブランドマネージャーであり、自身がこれまたウルトラランナーであるBuzz Burrell氏が、今旬な3人のエリートランナー、Anton KrupickaScott JurekPeter Bakwiと共に作り上げたハイドレーションベストで、それぞれのベストはデザイナーである3人のランナーたちの特徴をそのまま活かして作られています。AK Vestはミニマルで最も軽量なベスト、SJ Vestは中~長距離までカバーできるベスト、PB VestはUTMBからウルトラライトハイクまで何でも来いの超長距離用のベスト、といったところでしょうか。

 今回私が購入したのはSJ Vestです。直前までAK Vestにしようかどうか悩んだのですが、今後の100マイルレースでの使用もにらんだということもあり、また一見するとバルキーな印象のSJ Vestも、荷物をマックスまで詰めなければAK Vestと同様の使い方ができるというレビューを読んだこともあり、最終的にSJ Vestに決めました。お財布に余裕があればAK Vestも欲しかったです(涙)。先日観た『In the High Country』でもトニーがカッコよくAK Vestを使いこなしているのを見てやっぱいいな~といまだに思っているのはここだけの話。

サイズについて

さて、SJ Vestですが、まず使用前に色々とチェックしてみました。

 開封したてのベスト↓。かなりコンパクトかつ軽量。私が購入したサイズはMサイズ。SJ VestのサイズはS、M、Lの3つ。UDのサイトによるとそれぞれの大きさは以下の通り。

Sizing At Chest (Unisex):
SM: 25 - 31 in / 63.5 - 78.7 cm 
MD: 31 - 38 in / 78.7 - 96.5 cm 
LG: 38 - 43 in / 96.5 - 109.2 cm



 私の胸囲は100cmくらいなので、サイズ表からはLサイズを選ぶべきなのですが、これも色々調べたところ、実際のベストはUDの表よりも大きめなので若干小さめのサイズが吉!ということでしたのでMサイズを選んだのですが、結果大正解。胸囲100cmの私ですらMサイズで若干余裕がありますので、サイズ間のボーダーライン上にいる方は、購入する際には小さいほうを選んだほうがいいと思います。もちろん実際お店で試着できるに越したことはないのですが、UD Vestが置いてあるお店が近くにある方以外はネットで購入しかないので実際の商品を試着するまでドキドキでした(笑)。

SJ Ultra Vest詳細レビュー

以下、見ていただくとお分かりのように、全体的にかなり薄い素材く、かつ通気性や通水性が良い素材で作られています。



 背面のメインコンパートメントを開けてみたところです↓。軽量コンパクトの割りにはかなり色々入ります。ただし、ご覧頂くとわかりますが、背中に密着する部分は全く防水加工されていないため、汗、水など全部通してしまいます。濡れては困るものはここには入れないか、ジップロックに入れるなどしたほうがよさそうです。ただ素材的にメインコンパートメントに入れたものは背中にそのまま当たってしまいますのであまりゴワゴワしたものや硬いものを入れてしまうと走っている時に気になってしまいますので何を入れるかについては注意が必要です。


 背面のメインコンパートメントパート2(サブコンパートメント)↓。こちらはメイン収容部分のさらに上に位置してます。容量はメインよりも少ないのですが、こちらは防水加工されているためある程度は濡れてもいい物を入れておくことができます。ただし雨が振れば防水加工されていない表面部から水がそのまま染みこんできますので気をつけてください。



 次にベストの前面部です。ボトル収容部分の下に、塩分タブレットなどを入れておくことができる防水加工のポケットが左右に1つずつあります↓。鍵などの小物も入れておくことができます。
 

 腰の部分にも左右小物入れがあります↓。携帯電話やジェル、鍵など結構入りますが、走っている時には取りづらい場所にありますので実際の使用には慣れが必要です。


 100マイル大会などで時々必須となるホイッスルもデフォルトでついてきます↓。ただし頑張って吹かないとなかなかいい音がしません(笑)。あと、これは個人差もありますが、ぶら下げて走っていと胸の部分にガシガシ当たるため、それが気になる人はボトル入れの上にあるポーチ部分に入れておくことをおすすめします。ちなみにそのポーチ部分ですが、iPhoneが問題なく入るくらいのスペースがあります。ジェルを入れておいてもいいですね。
 

 これぞUD Signature Vestシリーズの最大の特徴といってもいい、前面部にある2つあるボトルホルスターです↓。これも慣れないと走る際に気になってしかたがないです。私の場合、数マイル程度走るうちに気にならなくなりましたが、これも個人差があると思います。
 各ホルスター部分には左右にひとつずつジェルなどを入れておけるポケットがついています。ただし、結構緩い作りになっていますので、小さいものを入れておくといつの間にか無くなってたりします。私も最初のランでアミノバイタルの顆粒スティックを2本程度ここに入れていたのですが気がついたら見事に無くなっていました(涙)

ボトルホルスターにはデザイナーで名前にもなっているランナーのサインが↓。SJモデルですのでScott Jurekさんのサインがさらっとプリントされています。

 
 ボトルを取ってみて上から覗いた図↓。ちゃんと周りは防水加工されています。


 UDボトルの特徴であるキッカーバルブです↓。最初これでどうやって飲んでいいか悩みましたが、思いっきり口でバルブ部分をひっぱると下の写真ようにバルブが出てきて飲めるようになることがわかりました。コツはちぎれるんじゃないかと思うくらい噛んでひっぱることです。慣れてくるととそこまで力を入れなくても出てくるようになります。バルブが出ただけではまだ水は飲めません。水を飲むためには哺乳瓶でミルクを飲む要領で、ボトルを押しつつ、しっかり吸う必要があります。突起した状態のままでも水はこぼれませんので飲んだ後そのままにしておいてもいいのですが、なんとなく出しているのはカッコ悪いと思う場合は、バルブの横を指で押して、中に引っ込めておくとスッキリします。

 

実際にSJ Ultra Vestを使ってみて

実際に30キロほどトレイルランで使用してみた感想です。
  • 全体の作りが値段の割に安っぽい。
  • ボトルに水を満杯まで入れて走るとバウンスするのか肋骨部分にガシガシあたって結構痛い。もっと上になるように装着すればいいのかな?ただ、ある程度中身が減るとフィットしてバウンスしなくなり、痛くなくなります。
  • キッカーバルブのボトル自身、なかなか優れものですが、バウンスして痛くなるのが個人的に気になりました。解決策としてはSalomonのSoft Flask 500mlを代わりに入れるといいのではと思います。ただ現在SalomonoのSoft Flask 500mlは米国ではどのお店でも売り切れ中で購入できておらず、まだ実際にフィット感など確かめられていません・・・。
  • ボトルホルスター部分ですが、これも個体差があるのでしょうが、私のものは走っているとギシギシと音が鳴り続けて気になりました。ボトルをしっかりと固定するために固めの素材がホルスターの底と側面部に使われており、その部分から音が鳴っているのですが、どうすれば音がしなくなるのかわかりませんでした。
長距離レースを走る方はよく分かるかと思いますが、長い時間走り続けていると、エイドステーションなどでハイドレーションパックを脱いでからリザーバーを取り出して水を補給するという一連の動作はかなり面倒くさく、思った以上に大変な作業です。できればベストなりパックなりを着脱せず、そのまま補給したい!という方にこのベストはおすすめです。自分でボトルに残っている水の量が簡単にわかるのも助かります。背中に背負うタイプのハイドレーションパックですと、まだ水入ってるだろうと思ってて飲もうとした時に水が無かった時の絶望感はハンパないです・・・。ただし、上述した通り、重量のあるボトルが2本胸の前にあるということに慣れないと使いづらく思う方もいるでしょう。2本それぞれを交互に飲んでバランスを取る必要もあります。背中に水を背負うのとは全然違う感覚ですので、それが合わない人はハイドレーションパックをおすすめします。私も長い間、UltrAspireのサージを愛用していますが、今後も用途に応じてこのSJ Vestとサージを使い分けていこうと思います。

最後に

まだ数回しか使っていませんのでまた使用していく中で気がついたことがあったら追記していきます。というわけで結局いまだにWaldo 100で使用するハイドレーションパックが決められていません・・・。皆さんもご意見やおすすめなどありましたら是非教えてください!