Monday, April 14, 2014

【Race Report】第6回ハセツネ30K 完走はしたけれども・・・


はじめに

第6回ハセツネ30Kに昨日(4月13日(日))初参戦してきました。米国にいた時から名前だけは知っていていつか出たいと思っていた「日本山岳耐久レース(ハセツネCUP)」の出場権が今回のレースで1000位以内に入れれば優先的に得られるということもあり、いつものように事前にほとんど情報をチェックせず出場することにしました。

レース前



 自宅から一番安く会場最寄り駅に行くために朝5時に起きて西武新宿線→西武拝島線→JR五日市線と乗り継いで武蔵五日市駅に7時30分過ぎに到着。西武拝島線あたりからトレイルランナー比率が高まり、JR五日市線ではほぼ全車トレラン専用車の様相を呈していました。相変わらず皆さん速そうで、いつものようにビビッてしまっていました(笑)。

ハセツネ30Kとは

ハセツネ30KはハセツネCUPの入門用のファンレースと位置づけられています。何だかサンドイッチと紅茶でも仕込んでピクニックついでに走るようなそんな和気あいあいとしたレースなのだろうと想像していたのですが、実際走ってみると、どこがファンレースじゃ!と怒鳴り込みたくなるくらいにガチムチハードレースでした(個人の感想ですので楽々走れた猛者もたくさんいたとは思います。)。またトレイルはほぼシングルトラックのコースだったのですが、ランナーの数がコースのキャパシティを超えるほど多く、レベルも高いため最初から最後まで列がほぼ途絶えず、常に後ろから誰かに追い続けられる展開でした。自分のペースで走ることが好きな私にとってこれが精神的に辛く、ペース配分が大きく乱れた原因でもあります。

 さて、ここでハセツネ30Kについて知らない方用に公式ウェブサイトから大会趣旨を引用しましたのでご覧ください。

大会趣旨
ハセツネ30Kは、自己の限界を追求するトレイルランニングの最高峰「日本山岳耐久レース(ハセツネCUP)の入門大会として位置づけ、誰にでも楽しみながら大会に参加してもらえる日帰りのファンレースとして早春の奥多摩を走り抜けてもらいたいと企画しました。また、トレイルランニングの普及と、安全走行の啓発、自然保護の精神の高揚にも寄与したいと考えています。 また、地元あきる野市と提携しながら早春の奥多摩の美しさを感じていただき、五日市町の春の名物「野良坊」なども楽しんでいただけたらと思います。ふるってご参会いただければ幸いです。
  
※ハセツネ30Kも、奥多摩の自然の中を走るハードなスポーツです。途中にエイドもありませんし、すぐ救急車も来ません。ハセツネの原点は、「自己への限りない挑戦、そして、無事帰還するのが原則」は変わりません。当然、ルールもありますし、山岳保険の加入は参加条件です。また、大会運営上制限時間もあります。大会の趣旨をご理解の上、ご参加ください。

 重要なのは後半の「※」以下ですね。完全に見落としていました。すいません。まさに、日本山岳耐久レースの名に恥じない、ド・ハードでドMなレースでした。

 コースとしては以下のコースマップの通り、秋川リバーシオ(旧五日市青少年旅行村)をスタートして同じ場所に戻ってくるというループコース。走ってみてわかったのですがロード部分が結構あり、そこでどれだけ速く走れるかがキーとなっていた気がします。ただし、私の場合は、ロードのほうがトレイルよりは得意なのでそこで頑張りすぎて特に後半のこれでもかと続く登り下りに足が残らなかったということもありますので、ロードで飛ばし過ぎも気を付けたほうがいいです。



 累積標高差は以下の通りです。前半の第1チェックポイントの入山峠の登りと、15Kポストの登りが目立ちまずが、本当の勝負は20キロを超えた市原分岐からだと思いました。

               (公式ウェブサイトより)

レース展開

32キロのレースとはいえそこはトレイル。しかも急峻な日本の山が舞台。それはこの前の六甲縦走キャノンボールランで痛いほどわかっていたにも関わらず、ファンレースだという言葉を額面通り受け取ってしまった自分にはあんだけ辛かった過去の教訓を今回役立てることはできませんでした・・・。
 
 とはいえさすがにレース直前になると色々情報収集して、刈寄山登山口では渋滞するのでそこにどれだけ速く到達できるかが勝負だ、とか、水は途中13キロ地点で水場があるのでそこで水を補給すれば1Lくらいでも間に合う、とか勉強してレースに臨むことに。もちろんギアチェックの時には規定の1.5Lを500mlのボトル2本+500mlのサロモンソフトフラスク1本でクリアしたのですが、その後ソフトフラスクのみスタート前に飲み干してザックにしまうという暴挙に。これが本当に後々自分を苦しめる大きな原因となるとはスタート前の自分は知る由もなく・・・。

関門時間との勝負



事前の情報収集で3つあるチェックポイントの関門時間がのんきに走っているとクリアできない可能性があるということもあり、全ての関門時間に引っかからないようにすることをまずは目標としました。そしてもちろん、1000位以内に入って本選への挑戦権を得ること。スタートから入山峠までですが、刈寄山の渋滞を避けるためにはスタートダッシュが命!ということでしたが、刈寄山の渋滞の前にトイレの渋滞に引っかかるという大失態。一時はスタートも危ぶまれましたが何とか開始数分前にスタートラインに立てました・・・。そこから周りの皆さんと共にスタートダッシュ。ただここで全力を使っては意味ないのでできるだけ無理せずに、でもなるべくいい位置で採石場まで行こうと調整しつつ走りました。そうこうする内に砂利道の坂を越え、目の前に噂の刈寄山が!さあ登るぞ!と前を向いたところ、



 すでにこの渋滞・・・。でもここまで飛ばしてきて実は既に息が切れていた私の本音は堂々と休めてラッキー!でした。少し落ち着いてから後ろを振り返ると後ろも大変な状況に。↓


 ここはディズニーランドか!と思わず叫んでしまうほどでした(もちろん叫びませんでしたが)。結局ここでは20分ほど休憩させていただいたのはいいのですが、その間すっかり足の筋肉も冷えて、肝心のトレイルでエンジンがかかるのに時間がかかってしまいました。

 軽い山登りの後は長い下りのロード区間。ここは走りやすそうに見えるけどそれは罠だ!と何人かの方から聞かされていたのですが、もともとロードの下りが大好物だった私にとってそれは難しい注文だったようで、無茶走りはしなかったものの、それなりにいいスピードで走ってしまい、結果10人以上を抜くことができました。ただ、最終的にはその20倍近い人に抜かされることになるのですがそれは後の話・・・。 ちなみに第一関門は過ぎたことも気づかず関門時間だけ迫ってきてて焦っていたのですがどうやら無事通過できていたようでした。

 ロードが登りに変わってからは少し落ち着きを取り戻し、ペースを落として走るのですが登っても登っても全然登りが終わらない。緩やかな登りではあるのですが、延々と登り続けたこの区間、結構足にきてしまいました。


 第二関門近くの12キロ地点あたりにいた「カウントお兄さん」によるとその時の私の順位は「598位」。予定していた順位よりは結構上で驚きました。

 第二関門の篠窪峠仮設登山口に到着してからはトレイルに。正直ロードで結構無理したツケがここから出始めます。登ってもすぐ下りとなり、ちょっとだけフラットな所があったかと思うとすぐにまた登り、そして下りというアップダウンの繰り返しで徐々に残っていた足も、精神力もガシガシ削られることに。20キロの市道分岐過ぎてからトッキリ場→入山峠→今熊山頂上→金剛の滝上へと続く繰り返しのアップダウンでボロボロに。今熊山なんて永遠に到着しないかと思われるくらい果てしないネバーエンディングストーリーロードでした。


水、水、水・・・

後半、状況はさらにヤバい状況に、500ml x 2、計1L持ってきていた水が20キロを過ぎたあたりで完全に消失。これはやばかった。何が問題かというと、水がないとジェルも飲み込めないし、電解質タブレットも飲めない。そもそも事前調査で書いてあった「13キロ地点での水場」がどこのことなのか全く分からず補給できなかったのも計算違いの原因でした・・・。気温は午後あたりになってどんどんあがってきて、かつアップダウンの繰り返しで、喉は乾ききり、力も出なくなり、足も止まりがちに。ジェルだけはまだ3つ残っていたのに・・・。ジェルの持ち腐れとはまさにこのことか、と飲めないジェルを見つめつつ、でもあと10キロ切ってるんだから頑張ろう!と自分を励まし進むことに。

 こう頑張れた理由はいくつかあります。水が無いとは言えここは文明社会日本、しかもその首都東京。いくら山間部とは言え、自販機かトイレくらいあるだろう、と。その全てが甘かった。今回初めて、脱水症状でDNFという危機に本当に陥る一歩手前まで行ってしまいました。

 水補給に関しての私の甘い推測と現実↓

  • 13キロ地点での水場で給水だ!発見できず。
  • 今熊神社(残り約5キロ地点)には神社というだけあって、トイレは無くともせめて掃除用の水道水くらいはあるだろう。→無し。
  • 今熊神社がダメでもその後に「バス停」という標識があったし、バスが通るくらいだから自販機1つくらいあるだろう無し。

 全ての希望が打ち砕かれた後、遠くに見える文明社会=街がどれだけ眩しく見えたことか。後ろからスーパーランナーたちがワンサカ元気よく走ってきては「横通りますよ〜!」、「すいませんね〜」と気持よく通り過ぎていくのを、ネジが緩みきる直前のブリキ人形のごとく、フラフラと歩いていた私は声をかけることすらできずただただ後ろ姿を仰ぐしかできなかった。

 さらに追い打ちをかける災厄がその後私に降りかかってきました。後半2キロ手前くらいの急な下りでカメラマンさんがスタンバイしていたのでここはちょっとカッコつけよう、といっぱしのトレイルランナー気取りで駆け下りたところ、自分の頭の中ではさもキリアンのごとく軽やかにシャモニーの山を駆け下りているつもりが、体のほうが全然ついてきていなかったようで、着地に失敗してカメラマンさんの目の前で思いっきり右足首を捻って転倒・・・。しかも自分でもしっかりと「ゴキッ」というあまり聞こえたくない音が聞こえてしまったほど。カメラマンさんに「大丈夫ですか?」と心配されるというカッコ悪さ・・・。30秒ほど悶絶した後、落ち着いて骨に異常がないか確認したところ、骨は折れてなく、歩くことはできたのでとにかく歩いていけるところまでいこう、と何とか歩いてゴールを目指すことに。

 苦難の山道が終わり、五日市に戻ってきて、ゴールまで後1キロもないあたりで、ようやく公衆トイレを発見。もう1キロ切ってるから普通に考えればそのままゴールまで行ってしまうべきだとは分かっていたのですが、喉の渇きが限界を超えていたこともあり、数十メートル過ぎていたのをわざわざ戻り、蛇口を捻って水道水一気飲み!「水道水やべえ!美味しすぎる!」と声はさすがに出さなかったのですが心の奥から感動した瞬間でした。もしその時目の前に1杯1万円の赤ワインのグラスと0円の公衆トイレの水道水を並べられたとしても、何の躊躇もなく水道水を選んだことでしょう。とにかく人生史上ベスト5に入るくらい美味しい水を心ゆくまで味わい、かなり元気を取り戻すことができました。ほんと、水って大切。あと、1.5L以上持って山に入るという注意事項はしっかり守りましょう。

 スタート前にもエイドないレースは厳しいですよ、というお話は聞いていたものの、こんなに辛い結果になるとは。もし来年再度参加する際には3リットルは持っていこうと思いました。


ゴール、そして・・・



結局、「カウントお兄さん」の時には「598位」でしたがゴールした速報値では「727位」と、後半10キロの大失速の間に129人に抜かれたことに。それでも最初の目標だった、「1. 関門に引っかかない」、「2. 1000位以内に入ってハセツネCUPの挑戦権をゲットする」という目標は果たすことができました。タイムとしては4時間48分36秒と、自分的には遅いんだか速いんだか初めての参加なのでよく分かりませんでしたが、とにかくDNFせずボロボロではあったにせよ完走できたことで今回はよしとしたいと思います。

 ハセツネCUPに出るかどうか・・・それはこの辛い記憶が薄まってみないと何ともいえないのが正直なところです(笑)。



 こんな状況で果たして2週間後のUTMFを無事完走できるのか、自分としても大変不安になっていますが、ここまで来たら後は運を天に任せてやれるだけのことをやるしかないと腹をくくって当日を迎えようと思います。ハセツネCUPに出るかどうかはそれからゆっくり考えればいいや。







P.S. 捻挫した右足首ですが、ハセツネ後の夜にかなり腫れてきたので、今日病院に行ったところ、全治1ヶ月の絶対安静という診断・・・。剥離骨折していた可能性もあるということでした・・・。ギブスかサポーターをしなさいということで、迷いなくギブスを選びました。レースはしばらくお休みですね〜、とも言われたのですが、夢だったUTMF。残りの2週間治療に専念して、せめてスタートはできるように回復したいと思います。



      (病院からもらったサポーター。これから2週間、お世話になります。)

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